sentimental butterfly

流れる時間にシャッターを切るように。

匂いや、味や、過去や、未来や、

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5月も終わりに近づき、日の出ている時間は大分暑くなってきた。
でもやはり日が落ちる夕方になると涼しげな心地よい風が吹いて、とても過ごしやすい。
この季節の夕方が、私はとても好きだ。
季節の匂いと各家庭の晩御飯の支度の香りが入り雑じって、何となくセンチメンタルな気分になる。

そんなとき、決まって思い出すのはピアノからの帰り道と、祖母のよく作ってくれた竹輪の煮物だ。
薄暗くなった道を一人歩くのが心細くて小走りに帰ると、家からよく出汁の匂いが香っていた。それを感じて何だかとても安心した。
そのことを思い出すのだ。
それと共に、私の中での祖母の味と言うのはあの煮物なんだなあという懐かしい気持ちにもなる。
私が中学生の頃に亡くなってしまったからレシピは知らない。真似てつくってみても何となく違う。
たまらなく恋しいけどたどり着けないのがきっと思い出の味なんだろう。

私が細々とレシピノートを取っている理由はそこから来ていて、いつか不意に私がいなくなったとしても大丈夫なように、同じような寂しさを感じないように、だったりする。
そんな大層なもの作ってないけどね、でもね、思い出の味は大事に育んでいきたいなあっていう、そんなお話。